2024.05.10
伊東 朋哉
こんにちは。住空間設計Laboの伊東です。
今回も引き続き、明石モデルハウスで採用した換気システムについて
お話ししたいと思います。
前回は、外から取り入れた空気を
室温に近づけるために、できるだけ床下で循環させるように基礎を計画した。
というところまでをお伝えしました。
この床下を循環した空気は、換気ダクトを通って、
1階の天井付近に放出されますが、その空気の流れを分かりやすくしたのが
下の絵になります。
➀の吸気口から取り入れた新鮮な空気を、
②の地中熱の影響を最大限に受けられるように床下をぐるぐると循環させ、
③の「換気ダクト」を通って、1階の天井付近に排出。
といったような空気の流れになります。
ここでポイントは、
③の換気ダクト内でも熱交換できるように計画していることです。
この換気ダクトは、床下から室内に給気する空気だけでなく、
2階の居室やトイレなどから、外に排出したい汚れた空気も通るようにしています。
(絵の緑色の矢印が排気の流れになります。)
ただ、室内に取り込みたい新鮮な空気と、
外に出したい汚れた空気がダクト内で混ざってしまうと、換気の意味がありません。
そこで、
2つの空気が混ざらないように、ダクトを2重構造にしています。
そのダクトの断面が下の絵になります。
2Fの汚れた空気は、
排気ダクトの中を通って床下へと向かいますが、
床下から上がってくる新鮮な空気は、
その排気ダクトの外側を流れて天井付近に給気されるので
2つの空気が混ざることはありません。
かつ、排気ダクトは熱が伝わりやすいアルミの素材にしているため、
2Fで快適な温度になった空気の熱が、
このダクト内を通る際に、床下から上がってくる空気へと移動します。
このように、ダクトを2重構造とすることで、
給気と排気が混ざり合うことはなく、熱交換だけが出来るようになります。
床下空間と換気ダクト内での2段階での熱交換により、
外からの空気を快適な室温により近づけるという仕組みです。
一般的な熱交換型の換気システムは
給気も排気も機械で強制的に行う「第1種換気」の方式が多いですが、
明石モデルハウスでは、排気は機械、給気は自然給気によって行う「第3種換気」で
熱交換を実現することにこだわりました。
その理由についてはまた次回に詳しくお伝えしたいと思います。