2024.02.24
伊東 朋哉
こんにちは。住空間設計Laboの伊東です。
これまで、住まいの快適性や耐久性を高めるためには、
断熱だけではなく、気密(防湿)がとても重要であること、
この2つの性能を高めて、初めて快適な体感温度を維持し、
建物の耐久性を損なう、壁内結露も防ぐということをお伝えしてきました。
ただ、この「断熱」、「気密(防湿)」に加えて、
もうひとつ、お伝えしたい大事なポイントがあります。
それが、「換気」です。
この国で24時間換気が法律で定められてから、20年以上が経ちますが、
これは、住まいの中で発生する化学物質や、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素化合物などが
室内を汚染することが原因で起こる、「シックハウス症候群」と言われる健康被害を
防ぐためにできた法律です。
これまで重要とお伝えしてきました、気密(防湿)性を高めれば高めるほど、
住まいの隙間は小さくなるので、汚れた空気も室内にこもりやすくなり、
「換気」の重要度はより高まってきます。
では、この「換気」について、
現在、どのような方法で行っているかというと、
大きくは下の3種類の方式に分けられており、
住宅においては、3つのうち、第1種換気と第3種換気が一般的に用いられています。
今ある住まいのほとんどは、第3種換気の方式だと思いますが、
これは、トイレや洗面室の換気扇を常時運転し、
リビングやお部屋の壁や窓に付いている給気口から
新鮮な空気を自然に中に取り入れる方式です。
壁に付いた穴から、直接外の空気を採り入れるわけですから、
たとえば真冬であれば、暖かい室内に、外の冷たい空気が隙間風のように入ってきますし、
真夏はエアコンの効いた涼しい室内に、生ぬるい空気が入ってきます。
こんな時期には、給気口を塞ぎっぱなしにしているご家庭も多いのではないでしょうか。
そして空気の入替のために、仕方なく外出時ぐらいは窓を開けたりしているのではないでしょうか。
これまでお伝えしてきた気密施工で、せっかく住まいの気密性、断熱性を高めても、
換気によって快適な室温が損なわれると、当然不快に感じますし、省エネ性も悪くなりますね。
そこでおすすめしたいのが、「熱交換」する換気方法です。
熱交換換気システムとは、外の空気をそのままの温度で、室内に取り込むのではなく、
快適な室内温度の空気が持つ「熱」を、
外から室内に入ってくる空気に移すことで、室温と給気の温度差を少なくする仕組みです。
例えば夏場、冬場は、それぞれ下のようなイメージになります。
快適な室内環境を維持するためには、
「高気密・高断熱施工」と、この「熱交換換気システム」はセットで考えるべき。
と思います。
次回は、Laboが提唱する「建築物理学に基づく快適な住まいづくり」を形にした
明石モデルハウスの換気システムについてお伝えしたいと思います。