2023.12.08
伊東 朋哉
こんにちは。住空間設計Laboの伊東です。
前回までは、
体感温度は室温だけではなく、湿度によっても変わるということ。
その湿度の元となる「水蒸気」は
室内の壁や外壁を自由に出入りできるぐらいの小さな粒子で、
その出入りを阻止しなければ、快適な体感温度を維持できないだけでなく、
壁の中で結露が生じ、断熱性能や建物の耐久性を損なってしまうこと。
についてお伝えしました。
今回は、その水蒸気の移動を抑える「気密施工」についてお話ししたいと思います。
よく、「高気密」の家。というワードを目にしますが、
実際、どのような状態であれば「高気密」と呼べるのか、
「高気密」にするにはどのような性能の数値が必要かというと、
実は、この「高気密」に決まった定義はありません。
様々な住宅会社が、各々の見解で「高気密」と主張しているのが現状です。
気密性能を評価する数値としては、
「隙間相当面積 C値(㎠/㎡)」という住宅内の隙間の総量を表す数値があります。
この数値が低いほど、隙間の総量が少ないということになり、気密性が高いということになります。
一般的には、C値1.0(㎠/㎡)未満であれば「高気密」と言われていますが、
これがどのような状態かというと、
延床面積が100㎡(約30坪)の家全体の隙間を合わせた大きさが100㎠、
10㎝×10㎝のサイズ未満という状態です。
ただ、このC値を確認するには、
実際に施工する現場で、気密測定技能者の資格を持つ者が
専用の測定器を用いて測定しなければならないため、
気密測定を行っていない住宅会社は数多くあります。
気密(防湿)施工は、大きさも形も異なる1棟、1棟の現場において、
手作業で行うため、高い施工精度が要求されることに加えて、
鉄骨など、そもそも木造に比べて気密性能が確保しにくい構造の建物は、
現場の管理が非常に難しくなるからです。
もちろん、会社で測定器を購入し、測定技能者の資格を取得するにしても、
測定できる他の会社に依頼するにしても結構なコストも掛かかります。
Laboでは、この気密測定器を自社で保有しており、
気密測定技能者のスタッフが在籍していますので、
工事途中や、完成時など適時、測定することが可能です。
↑現場での測定状況と測定結果
では、気密(防湿)施工をどのようにするかというと、
気密・防湿シートと呼ばれる薄いフィルムを、室内側に張ります。
壁も天井も途切れることなく連続して張っていくのですが、
このシートの張り方においても、重要なポイントがいくつかあります。
断熱材との間に隙間をつくらないということと、
出来るだけシート同士の継ぎ目を無くすということです。
それについてはまた別の機会にお伝えしたいと思います。
このように、気密(防湿)施工を確実に施工することで、
快適な体感温度を維持しやすくなり、エアコンの効率もよくなります。
また、特に冬場に起こりやすい壁内での結露を防ぎ、建物の耐久性も高めます。
【気密・防湿シート有の場合】 【気密・防湿シート無の場合】
次回は、Laboが提唱する「建築物理学に基づく快適な住まい」をカタチにした
明石のモデルハウスについて、
こだわりポイントをご紹介したいと思います。