2023.08.05
伊東 朋哉
こんにちは。住空間設計Laboの伊東です。
前回、「湿度」が変わると、体感温度も変わること、
快適な体感温度を維持するには、湿度のコントロールが必要とお伝えしました。
では、室内の湿度を一定に保つにはどうすればいいのでしょうか。
それを考えるには、この「湿度」の元となる「水蒸気」の性質について
知っておく必要があります。
一般的に言われる「湿度」とは「相対湿度」のことですが、
「相対湿度」とは、ある空気の飽和水蒸気量に対する、
その空気中に含まれている水蒸気量の割合のことをいいます。
飽和水蒸気量とは、空気が含むことができる、最大の水蒸気量のことです。
この水蒸気量が飽和水蒸気量に達すると、相対湿度が100%ということになります。
100%を超えるとその空気は、超えた分の水蒸気を保持することができないため、
水蒸気は液体となり、いわゆる「結露」が発生します。
湿り空気線図を使って、
冬場によくある窓の結露について考えてみましょう。
例えば、冬場の室内温度24℃、湿度40%の空気は、
約7g/Kg強の水蒸気量を空気中に保有しています。(これを絶対湿度といいます)
加湿器などは使用せずに、絶対湿度が変わらないと仮定した場合、
室温が9.5℃まで下がると、飽和水蒸気量(湿度100%)に達することが分かります。
つまり、部屋の中で9.5℃以下に冷やされる場所があると、
そこに結露が発生することになります。
冬場によく窓ガラスが結露して濡れているのは、
家の中で一番外気温の影響を受けて、温度が下がる場所が窓だからです。
では、窓の断熱性能を上げれば、問題は無くなるでしょうか。
結論から言うと、そう簡単にはいきません。。。
確かに窓の内側の結露は解消されるかもしれませんが、
実は見えないところで結露が発生しているのです。
ここで、冒頭にお伝えしました「水蒸気」の性質について
お話ししたいと思います。
「水蒸気」というと、やかんから出る湯気や、アイロンのスチームのように、
何となく、目に見える蒸気を思い浮かべるかもしれませんが、
あらゆる空気中に含まれる「水蒸気」は非常に小さな粒子で、
肉眼では見ることはできません。
だから空気中でも浮いていることができるのですが、
どれくらい小さいかというと、
その粒子のサイズは約0.04μm、
何と10万分の4ミリという想像のつかない大きさです。
これは、家の屋根や外壁、中の間仕切り壁でも
簡単に出入りできるほどの非常に細かいサイズなのです!
そしてもう一つ、
「水蒸気」は必ず絶対湿度の高い方から、低い方に向かって、
常に移動する性質があるということです。
これが「水蒸気」のやっかいな性質で、
なかなか湿度をコントロールするのが難しい理由になります。
この「水蒸気」が自由に移動できると、どのようなことが起こるのか?
次回も引き続き、「水蒸気」の性質についてと、
見えないところで発生する「結露」についてお話ししたいと思います。