2023.07.03
伊東 朋哉
こんにちは。住空間設計Laboの伊東です。
引き続き、快適な体感温度についてお話ししたいと思います。
前回、体感温度は「温度」と「湿度」によって決まる、
「比エンタルピー」(空気が持つ熱量)が大きく影響します。とお伝えしました。
快適な体感温度には個人差がありますが、
住まいにおいては、室内の比エンタルピーを、
冬場は43kJ/kg以上に、
夏場は65kJ/kg以下にできれば、
概ね快適な室内環境となります。
環境省によると、
冬場の室温は20℃、夏場は28℃にすることが推奨されています。
では、湿度はどれくらいが適切でしょうか。
下の【湿り空気線図】を見ていただくと、
冬場、室温を20℃にする場合は、湿度を60%以上に保たなければ、
乾燥により寒さを感じやすくなります。
もし、室温を22℃に上げれば、湿度は最低50%以上ですね。
また、換気によって、湿気が外に排出されることも考えると、
冬場は特に意識的に加湿をする必要があります。
夏場は逆に、湿度を60%以下に保つことが必要です。
それ以上の湿度になると、蒸し暑くて不快な室内環境になります。
ただ、夏場は換気による湿気の排出と、エアコンの稼働による除湿効果も期待できるので、
エアコンを27℃~28℃程度に設定して稼働しておけば、
概ね快適な環境となります。
このように、1年を通して快適な体感温度を保つためには、
温度だけではなく、湿度のコントロールも必要なことが分かります。
温度と湿度両方が確認できる「温湿度計」をお持ちでない方は、
ぜひ、ご入手いただき、お部屋の状況を確認してみてはいかがでしょうか。
(1000円未満で購入できます。)
住まいづくりにおいても、この湿度のコントロールはとても重要です。
断熱材は熱の移動を抑えて、温度を保つ働きはしますが、湿気の移動は止められません。
次回は、この湿気の移動を食い止める「防湿」についてお話ししたいと思います。