渡辺:佐伯先生との出会いは、ある雑誌で先生の記事を読んだことがきっかけでした。先生の生い立ち、幼少期から抱いている日本家屋への情憬…そういったことが切々と書かれた文章を読んで、私が思い描いている家づくりの理念、延いては“生き方” に深く通ずるところがある。恐縮ではありますが、そう感じました。
佐伯:そして、わざわざ手紙をくださったんですよね。
渡辺:その記事を読んでから、執筆された書籍や出演されているメディアなども拝見させていただくうちに、“美容”というツールから“生き方”についても同時に伝えておられるのだなと感じ、さらに憧れるようになりました。ちょうど家づくりについて迷いのようなものを感じ悩んでいるところだったので、どうにかして先生と関わりを持つことができないかと思い切って手紙を送ってみたのです。
佐伯:社長自らがこだわりと理念を持って、家づくりをしている。手紙からはその光景がありありと感じられました。私は長年美容を仕事にしてきましたが、幼少期は戦後で住まいがないところからスタートしました。だからこそ、“住まい”に非常な憧れとこだわりがありました。けれど、今の若い世代の人たちにとって“住まい”つまり“家”があるのは当たり前のこととして捉えられていて、その大切さやありがたみを感じられていない人が多いように思います。人間の核となる家族は、“住まい”あってこそ。大きな声で「ただいま」と帰り、食卓を囲んで家族みんなで食事しながら会話する。そんな取り留めのないことが、人間の基盤となることを忘れてはいけない。そういう思いをどのように発信していこうかと考えているときに、社長からの手紙を読んで興味を持ったのです。
渡辺:その手紙を送った後に電話をかけてみたら、なんと先生自ら出てくださって。さらには手紙まで読んでいただけていた。それだけで本当に夢のようでした。それが、テレビ番組の出演に合わせて関西に来られる際にLaboの住宅を見せてほしいとまでおっしゃっていただけて…信じられませんでしたね。
佐伯:それからすぐお会いできましたよね。
渡辺:今でも忘れません。初めてお会いしたとき、先生が住まいの中で何を見て何を学んできたか、女性はどう生きるべきかなど、幅広い観点から“生き方”という概念についてお伺いできました。直接耳にする人生の大先輩のお言葉は、説得力があり魅了されました。
佐伯:そうおっしゃっていただけて光栄です。
渡辺:そのときおっしゃっていた先生の“帰りたくなる住まい”という言葉にも感銘を受けました。その言葉を聞いて、やはり“住まいづくりは人づくり”であると確信しました。
佐伯:あのとき、社長の強い想いを感じましたね。理念や情報、ものづくり…あらゆるものを発信するときに必要なのは“つくり手の思いが伝わる”ということなんです。この人となら、いいものをつくることができそうだなと思いました。だから、“人にとって本当にあるべき住まいづくり”“帰りたくなる住まいづくり”を一緒に実現できたらなという話になったんですよね。